警察
警察には人生で2度助けを求めた。
今でもその時担当してくれた警察官の顔と表情がハッキリと浮かぶ。
「めんどくさい」
そう言いたげな顔だったのを覚えてる。
非行少女。反抗期。
そう見えているのか、仕事が増えることに不満を抱いているように見えた。
正義とは何か。
1人の子供を助けたところで死にかけでもないし称賛されないのだろう。
「子供が好きで教師になりました」
「困ってる人を助けたくて警察官になりました」
これ程聞き飽きた建前はない。
本心で言ってる人もいるのだろう。
でも、私は出会った事がない。
嘘はついてはいけないと幼い頃教わったが、大人は嘘ばかりつく。
大人になった私もそうだ。
建前、お世辞という嘘をつく。
今までの大人と違い、警察は仕事はしてくれた。
児童相談所には繋げてくれた。
助かったと思った。
児童相談所に着いて、職員の方とお話をした。
助かったという気持ちが大きすぎて何を話したかは思い出せない。
夜中に行ったので、軽く説明を受けてすぐに寝た記憶がある。
1度目も2度目も安心感で涙が出た。
温かいお布団で寝れる事が幸せだった。
児童相談所は非行や虐待、全ての子供が集まる場所である。
規律は厳しく、逃げ出す子もいるらしい。
私にはそれが理解ができなかった。
理不尽な事で怒られない。
きちんとご飯が食べれる。
お風呂に毎日入れる。
お布団で朝まで寝れる。
私が家で叶えられなかったことが、児童相談所では叶えられるのだ。
幸せだった。
ずっと居れる場所ではないので、今後の進路を決めなくてはならなかった。
1人目の担当の児童福祉司さんは優しそうな気弱そうな男性だった。
いつも優しい微笑みをかけながら、私とお話してくれた。
ある日、「1度目の保護だと強制的に施設に入所することが出来ない。お父さんもお母さんも今回のことで反省してくれると思うよ」と言われた。
そんなわけが無い。有り得ない。
帰される。絶望だった。
1度目の児童相談所は2週間位で家に帰された。
私への監視が強くなっただけだった。